2021年度キャプテン・ロングインタビュー
2021/03/17
2021年度キャプテン・ロングインタビュー
(鈴木翔太・4年・都立青山・LO)
2021年度の慶應JSKSの新キャプテンに就任した鈴木翔太。
緊急事態宣言の延長により、2021年の春シーズンの練習開始を遅らさざるをえない今、最終学年に挑むキャプテンは今どのようなことを考えているのだろうか。
人の情熱に絆されたラグビーとの出会い、JSKSとの偶然の出会い、JSKSの面白さ、家族の支え、今年にかける思い、コロナ禍での思い、チームメイトへの思い、新入生への思いまで、存分に語りつくした。(聞き手:広報担当・加藤(2001年卒))
「人の情熱に絆されたラグビーとの出会い」
鈴木とラグビーとの出会いは、高校時代に遡る。鈴木は幼稚園からサッカー一筋のサッカー小僧だった。しかし、180㎝もあった身長をラグビーが放っておくわけもなかった。都立青山高校に入学した鈴木を待っていたのは、ラグビー部の先輩からの熱烈な勧誘だった。
加藤:ラグビーを始めるきっかけを教えてもらえますか?
鈴木:出身校が都立青山高校なんですが、高校入学までは幼稚園から十何年間もサッカー一筋でやってきたんです。でも、自分元々背が高かったこともあって、先輩に一目ついたみたいで「ラグビーはじめようよ!」ってことで勧誘を受けたのがきっかけになります。
加藤:サッカーへの未練はなかったの?
鈴木:サッカーへの未練は正直ありました。
高校でもサッカーをやるのかなと思って入学したんですが、本当にその先輩の熱意というか-今となっては恩人の存在ですが、毎日、毎昼休み、授業が終わって教室を出るとその先輩がいて(笑)、「入部するまで帰らない」みたいな感じのことを2週間くらいずっとやっていただいたんですよ。そこまで必要にしてもらえるなら考えてみようかなと思ったのがラグビー部入部のきっかけですね。
加藤:それでラグビー部の扉を叩いた。
鈴木:はい、最初はタッチフットをやって、全然痛くないし楽しいじゃんって騙されて(笑)。それで入った感じです。
加藤:最初はコンタクトプレーがないもんね。
鈴木:はい、最初はタグラグビーとかでした。
加藤:コンタクトプレーが始まったらどうだったの?サッカーにはないもんね。
鈴木:今は体重増えているんですが、当時は180㎝、60kg台でゴボウみたいな感じだったので、コンタクトするのも怖いし、痛いし、「俺、何やってるんだろう。」って感じてました。
加藤:体重はやっていく中で増えたの?
鈴木:スポーツ始める以上はスタメンで活躍したいという思いがあったので、毎日4食~5食食べるような生活を高校時代の間ずっとしていて、高校3年間で30㎏くらい増やしました。
加藤:ラグビーにのめり込んでいったんだね。
鈴木:面白さを知った時は、これを極めたい!打ち込んでやりたい!と思ってラグビーの魅力に引きこまれていきました。
サッカーでもコンタクトプレーは多少はありますけど、バチバチぶつかったりもしないし、ラグビー部の先輩が試合をやってる姿を見て、かっこいいなと思ったのが大きいですね。
自分の体一つで相手とバチバチやり合うところとか、努力した分だけ結果の出るスポーツだし、あとは、色々な人がいるのも魅力的でした。
太っててプロップやるような人もいれば、足速くてちっちゃい子もいる。
体格、考え方が違うメンバーが15人もいて試合するのが自分にとっては衝撃というか、面白いなと思いました。
加藤:ポジションはLO(ロック)だよね。
鈴木:高校時代からLOですね。でもJS入ってから、3~4カ月だけセンター(CTB)やりました。(笑)
加藤:BK(バックス)に浮気心があった(笑)?
鈴木:本音としてはBKをやりたかったというのがあって、大学入ってやろうと思ったんです。で、「1回やってみれば?」って言われてBKやってみたんですけど、「あ、BKのセンスは無いな」と(笑)。
自分はやっぱりゴリゴリフォワードの方がいいなと思ったのと、BK大変だなと思って、すぐLOに戻りました(笑)。
「一度離れたはずのラグビーに再び引き戻された縁」
大学に入り、一度はラグビーとの距離を置くことに決めた鈴木。
それは「今しかできないこと」を選択した結果だった。
しかし、偶然の出会いを経て彼は再びラグビーに引き寄せられることになる。
加藤:JSとの出会いはどういうきっかけだったの?
鈴木:高校3年間での(ラグビー部に)達成感もありましたし、受験勉強にシフトしてブランクもありました。
自分はJSには、2年生から入ったんですけど、大学入学した最初の頃は、今しかできない事をやろうと思い、当時高校の先輩がいた三田祭実行委員会に誘われてそこに入ったんです。面白そうだし、大学生でしかできないなと思って。
ラグビーと距離を置いたんですよね。
で、たまたま青高の後輩たちの試合の応援行った時に、(JSKSのOBであり青高のOBでもある)上田さん(1974年卒)に、「君、慶應なのにラグビーやってないの?」みたいな感じになって、そこからすごい勧誘を受けまして。「ぜひ来てほしい」みたいな感じで。自分、勧誘に弱かったんで。後輩たちを見てて、ラグビーっていいスポーツだなと思って、やりたいなって思って、「JSちょっと見に行ってみます。」というのがきっかけですね。
加藤:上田さんって、だいぶ年齢的には上だよね。
鈴木:かなり上ですね。(注釈:上田さんは鈴木の47歳年上の先輩)
上田さんには今もすごく、良くしてもらっています。
お互い青高の試合を見に行ってたのがきっかけですからね。
そこで急に声を掛けられたんですよ。
当時、応援来ていた方で上田さんと知り合いだったか方が、「今日来ている、キャプテンだった奴、慶應なのにラグビーやってないみたいだぞ」って(上田さんに)チクったみたいで(笑)。
加藤:それは本当に縁だね。
鈴木:そこでの上田さんとの出会いが無かったら、今ラグビーをやってなかったんで。本当に縁ですね。
加藤:そっか。1年の時はラグビーとの距離を置いてたのに。
鈴木:本当に1年は三田祭の実行委員だけをやっていて、高校の先輩はBYB(同じ慶應内の準体育会のラグビークラブチーム)にもいたんですが、準体育会というのを自分もあまり理解してなくて。
三田祭もやりたかったし、中途半端になってしまうからラグビーとは距離をおこうと思っていました。
加藤:準体育会を理解してなかったというのは?
鈴木:体育会でもないし、サークルでもないというのは、新入生にとってはよくわからない存在でした。でも週4日練習をやってる。どれくらいの熱意をもってやっている実態もつかめてなくて、中途半端に入ってフワフワやるのは嫌だったので、最初は距離を置きましたね。
加藤:体育会の蹴球部には入ろうと思わなかったの?
鈴木:いえ、最初は体育会に入ろうかなとも思ってました。
慶應の体育会は魅力的だし、スポ選(スポーツ選抜)だけじゃなくて、育て上げたチームで早稲田とかとやりあっているチームは本当にかっこいいなと思っていたんですけど、今しかできない事ってのは自分の中で大きくて。
三田祭実行委員会が自分の中では大きくて、体育会よりもそっち(三田祭実行委員会)を選びました。
加藤:今も三田祭実行委員もやっているの?
鈴木:そうです。両方やってます。
加藤:両立はどんな感じ?
鈴木:それぞれ活動の時間帯が違うんですよね。JSは基本的に午前中が多かったり、平日はナイターだったりするんですが、三田祭の方は、土日は午後だったり。
あと自分の役割的にパソコンで企業の方とやり取りすることも多いので、その分両立はしやすいと思います。なので今はどちらも100%でやってます。
練習終わって、ご飯食べて、三田キャンパスに行ったりとか。
特に10月頃なんかは忙しいです。
加藤:他のサークルと両立している人もいたりするの?
鈴木:他のサークルやゼミとかの別の活動と両立している人も意外といるイメージです。
加藤:そのあたりが準体育会のクラブチームの良さなのかな?
鈴木:自分もそう思います。
加藤:学生生活ここまでを振り返ると自分なりにどのように振り返ってる?
鈴木:今までの人生もそうでしたが、今しかできないことを全力でやりたい。という生き方をしてきたので、大学でもそれができていると思います。
この3年間無駄な時期は無かったと思ってて、あっという間に3年経ったイメージ。
周りの人にも感謝しながら、楽しくやってます。
加藤:そういう楽しさって、どこから来るものなんだろうか?
鈴木:そうですね。自分で選んで何かをやれるってことですかね。
高校まではある程度決められた通りに授業もするし、部活も顧問がある程度決めて活動するのがほとんどです。大学に入ってからは、自分が何をすべきなのか、自分がこの時期に一番力をいれるものは何かを常に考えながら、三田祭、JS、バイト、ゼミなどを常に自分が好きなように選んで、選んだらそこはちゃんと結果を出すというのが楽しい要因ですかね。
加藤:主体性をもって取り組んできたんだね。JSの中でも主体的な働きかけはしてきたの?
鈴木:自分がLOでラインアウトで関わることが多いんですけど、先輩に対しても「もっとこうしたら戦術的にも良くなるし、試合の運びとしても上手くいくんじゃないか。」ということを特に前任の岩谷キャプテンとも何回も話をさせていただきました。
3年生ながらそこはしっかり意見を言わせてもらい、意見をくみとってくださったり、セットプレーに関しては自分も積極的に意見を出したりしていましたね。
加藤:昨年はコロナ禍の影響もあったと思うけど、どんなことを考えてやってたの?
鈴木:コロナ禍で練習も満足にできない時期もあったり、(練習の)できる時間も限られたりしたので、1回当たりの練習がすごい大事だなと感じてます。
短い時間でどれだけ戦術を落とし込めるか重要だったので、なるべく自分のポジションに近い人や、帰り道や行きが一緒の時なんかは、グランド外の時間とかでも、戦術とかプレーの幅が広げられるように、常に共有するようにしていました。
加藤:グランド外だったら遊びの話をするのが普通の学生だと思うけど、そういう遊びの話もするんでしょ?(笑)
鈴木:もちろんそうです(笑)。車で行った時とか、そういう話もするんですけど、「次の試合、ああいうプレーしたら効きそうだよね」みたいな話もしながら、雑談交えながらラグビーの話もしますね。
加藤:去年はそういうコミュニケーションが特に増えたのかな?
鈴木:なるべく意識していました。練習が満足にできないので、そういう部分が大事だろうなと思ってました。
加藤:去年1年間コロナ禍での活動はどうでしたか?
鈴木:正直(コロナが)憎いというか(笑)。
仕方ないことなんですけど、1個上の代(の人たち)を自分も大好きで、すごい仲も良かった分、シーズンの半分くらいが練習できなくて、せっかく3年4年という関係で、チームを作っていくときに、合宿もできず、練習試合も中止になったりして、悔しさはすごい残っています。
加藤:今も緊急事態宣言で、シーズン開始も遅れている状況だけど、これからの1年に向けては今どんなことを考えているの?
鈴木:昨年のチームは4年生が主体のチームで、そのメンバーがごっそり抜けてしまうので、大きな転換期だと感じていて、メンバーも総入れ替え。練習も変則的になるだろうと思います。チームとしても大きな節目だと思ってます。
チームレベル的にも主力が抜けてすぐに結果が出ないシーズンになると思っていて。春も夏も苦労する場面が多いと思うんですけど、自分たちのフォーカスは秋の最後の大会なので、そこに向けてチームの底上げができるか?を重視していこうと思います。
加藤:今の4年生は何人?
鈴木:プレイヤー6人、マネジャー2人です。
加藤:4年生だけで引っ張るというよりは、下級生のメンバーも含めてチーム作りに関わってもらわなきゃいけないね。
鈴木:なので、今年は例年なかったことですけど、BKリーダーを3年に任せることにして、4年と3年を含めて一緒にやっていくことを表していきたいと思います。
「やるからにはやり抜けという親からの教育方針」
JSKSだけでなく他の活動や学業も含めて二兎も三兎も追いかけながらの学生生活。
そんな鈴木のことを家族はどのように思っているのだろうか。
鈴木の家族の教育方針は、鈴木自身の信念へと確かに受け継がれている。
加藤:話は変わるけど、親御さんとかとJSのことやラグビーについて何か話をしたりすることもあるの?
鈴木:ありますね。もちろん。試合とかも見に来てくれたりしていたので。
加藤:去年はなかなか親御さんも見に来れなかっただろうけど、他の親御さんは試合を見に来たりするの?
鈴木:代によるかもしれませんね。
息子がラグビーしているのが好きなお母さんとかは結構来てくださったりしています。そんなに多くはいないですけど。
加藤:キャプテンになったことは、親に言ったの?
鈴木:言いました。
加藤:キャプテンやることについて(親御さんから)アドバイスをもらうことはあるの?
鈴木:そうですね。特に助言をいただいたことは無いですけど。
(JSに入る時に)大学からもやっぱりラグビーをはじめるわ。と(親に)言った時にも、「自分が好きなようにしろ」と。「ただし自分が(やると言い出して)やるからには、やりきるまでやりなさい。」と今まで教育を受けてきたので、それだけは常に守ってやってきた感じです。
なので、キャプテンをやるという時にも、「それだけ覚悟を決めてやるんだったら、何があっても最後までやり切りなさいよ。」というような助言というか。でもそれは昔から言われていることですかね。
加藤:今までに親後さんが心配されるような怪我したこととかあった?
鈴木:ラグビー始めた当初は貧弱な体だったので、「大丈夫かな?」というのはあったと思いますが、自分が「やりたい」という事を伝えた時には「そこまで言うならやりなさい。」という感じで、特に反対とかもされず、ずっと応援されていたという感じです。
加藤:実際に怪我したことは?
鈴木:1回骨折したことはあるんですけど、それ以外の大きな怪我はないですね。骨折と言っても指のちっちゃい所だったので、意外と複雑な怪我はしていないですね。意外と強いですね。
加藤:それは親からもらった体に感謝だね。
鈴木:いやー、本当に感謝です。
加藤:いくらラグビー上手くても、怪我が多いと試合に出続けられないしラグビー楽しめなくなっちゃうからね。
「90年以上のチームのDNAを受け継ぐ者としての覚悟」
JSKSには1940年(昭和15年)に書かれた初代部長の新館先生の「希望」という文章がある。
それを読んだ平成生まれの弱冠21歳の鈴木は、JSKSの「遺伝子」「DNA」という言葉で表現した。
彼がJSKSのDNAを継承し、自らの身をもって伝承していく覚悟に聞こえる。
加藤:あと、少し話は変わるんだけど、新館先生の「希望」という文章(1940年に書かれた初代部長の新館正國先生の言葉)をこの前紹介したんだけど、どのように感じた?
鈴木:80年前って聞いた時にまずびっくりしたのが正直な感想です。
まだ戦時中だったと思うんですけど、「勝ちにこだわる。強くなければならない。」という部分は絶対に(当時から)あったと思うんですけど、その中でも(JSKSの)活動を通じて、仲間というのをすごい意識されていたのかなと言うのを感じました。
ただ勝てば良いのではなく、「強いという事は勝利のみに終わる訳ではない。人間そのものと友情の勝利なのだ」という文章が結構印象的で、勝つだけでなく、そこの過程で生まれる仲間との絆や、人としての成長を、当時80年前でも言っていたんだなと感じました。
今と80年前は、社会情勢やJSの感じも全然違うけど、「勝ち」という自分たちの目標にある中でも、それぞれの人間性を高めたり、主体性を高めて活動していくという部分、そういうJSのDNAというか遺伝子の部分は変わってないのかなと。
それがJSの良さであって、それが80年前から続いていたんだという事に驚き、強い印象を受けました。
加藤:JSKSも今年で92年目、89代目のキャプテンを担うのはそういった歴史も背負うってことですね。最終学年にかける思いとしてはどうですか?
鈴木:自分が2年生でJSに入った時から、4年生からの影響はチームにとって大きいものだなと感じています。最終学年になるにあたって、もちろんOBの方に(試合の)結果として(勝ちを)報告できるのは一番なんですが、勝つだけじゃなくて後輩の育成も非常に重要かなと思ってて、後輩にJSの良さだったり、ずっと残ってきた文化・価値観を受け継いでいきながらも、しっかりと最終学年4年としてチームを引っ張っていければと思っています。
個人的には、GWとMRには勝ちたいです。ずっと負けてばっかなので。
加藤:でも、去年は惜しかったよね。
鈴木:MR戦はいいところまで行ったんですが。
勝てない相手じゃないなと思った部分はあるので、そこを目標にやっていきたいと思います。
加藤:今年のチームとしての方針はどうですか?
鈴木:組織として今年は「規律」という部分を重視していきたいと思っています。
体育会みたいにガチガチでやるわけではなく、今までも練習のオン・オフだったりメリハリをつけるというのは言ってきたことだけど、やっぱり言っているだけで形骸化してしまっていたかなと感じています。
練習が始まった時、試合の前はスイッチを入れて、やるときはやる。というところ重視していきたいです。限られた時間でコロナで練習もどうなるか分からない部分もあるので、練習始めたらスイッチを入れる。そういう基礎的な部分になるんですが、一年間チームとしてやっていきたいです。
加藤:戦術的には?
鈴木:4年生が抜けてしまってがらりと変わる部分がありますが、FW(フォワード)のメンバーはほとんど変わらない。BKは抜けてしまうんですが。
JSの昔ながらの強みであるスクラムだったり、モールだったりは遺伝子として残っている部分があるので、そこでまずは敵を圧倒して優位に立って、BKでも点を取れるようなチームを目指していきたい。
加藤:今って、練習相手はどうしているの?
鈴木:社会人のチームとやることも時々ありますが、自分たち幹部陣でも話していますけど、自分たちが目標とする相手と定期的に練習だったり練習試合を組めるようにしてもらおうとしています。
「ラグビー初心者がもたらすチームの真の強さ」
JSKSには大学からラグビーを始める者もいる。
そんな初心者に対して、高校からラグビーを始めたキャプテンはどのように見ているのか。
鈴木の言葉からJSKSの真の強さが垣間見れる。
加藤:今のチームの中に、大学からラグビーを始めた未経験者もいるの?
鈴木:各代、1人~2人ずついます。
加藤:未経験で始めても、学生クラブチームで通用するように見えてますか?
鈴木:自分の同期に棚田ってやつがいるんですけど、ずっとテニスをやってたのに大学からJS入った子になるんです。
JSって主体的に動いた人ほど上手くなれるというか、どれだけ自分でやるかが大事だと思ってて、初心者でもいつからでも逆転のチャンスはあるって自分は思ってます。
棚田は「まずは体を鍛える」と言って、チームの誰よりもウエイトが上がるやつになってます。練習のスキマ時間に経験者に聞いたりして、今ではスタメンで出場できるだけのフィジカルと戦術理解もできているので、頑張ったら頑張った分だけ試合に出ることに繋がるし、努力は実るかなと思います。
加藤:初心者がいて努力するそういう姿勢を見ていると、チームとしてもすごくいい雰囲気になるよね。
鈴木:そうですね。みんなも上手くなっていく過程を見ている分、チーム内でA戦対B戦で試合やって彼が活躍した時は、チーム全体が湧くというか。「うぉー、あいつがぶっ倒したぞ!」ってなるし、チームとして雰囲気づくりも含めて良い方向に向かっていくかなと思ってます。
加藤:私も大学から始めた初心者だったからわかるんだけど、十分に4年間という時間の使い方の中で積み上げることはできるよね。
ところで監督も2020年シーズンより変わったけど、監督とのコミュニケーションはどんな感じですか?
鈴木:監督とは、チーム運営、組織の方針決めの時は密に連絡を取らせていただきました。基本的に監督としては、「幹部陣がやりたいことをやれ。」という監督なので、「こういうビジョンでこういうことをやりたいと思っている」と監督に伝えると、基本的には「良いと思う」と言ってくれます。
これは実際にシーズンが始まってみないと分からない、と言うところですが、締める部分は締めなければいけない部分もあると自分たち(幹部陣)は考えているんです。
監督からは「そういう時は俺を全然使ってくれていいから」と言ってくれてて、一回ピリッとさせたい時に嫌われ役じゃないですけど、そういう役割をやっても良いと言っていただいています。
チームが良くなるように色々考えて下さっていて、密に連絡を取らせてもらっているので、自分としてはいい関係性なのかなと思ってます。
加藤:ラグビー以外の話もしたりするの?
鈴木:いや、ラグビー以外の話はあまりできていないですが、「コロナ明けたら、また飲みに行こう」って話してて、グランド外のコミュニケーションも監督自身が行こうよって言ってくれるのでありがたいです。
「OBとの縦の強さを感じる就職活動」
最終学年を迎える鈴木は、他の同学年の学生たちと同様に今、就職活動の真っ只中にいる。
就職活動で感じるOBとの縦の強さ。そしてOBとの話で感じる仕事に取り組む姿勢。
それらは、鈴木にとっての新たな刺激になっている。
加藤:ところで、就職活動の状況はどうなの?
鈴木:コロナ禍で採用が減るとかそういうニュースがありますが、しっかり準備して進めているので今のところは何とか順調です。就活でも本当にOBの方々がバックアップというか支援してくださっていて、会ったこともない人にOB名簿から連絡して、「すいません!話聞かせてください!」って言って連絡していますが、いまだに断られたことが一回もないです。
OBの皆さんも時間を取ってくださって、「JSの活動は大変だけど頑張って!」って言ってくださいます。最近は、JSの縦のつながりの強さをすごい感じています。
加藤:結構、OBに会いに行っているの?
鈴木:かれこれ3月だけでも10人以上は会わせていただいていますね。
加藤:かなりアクティブだねー!
鈴木:それが私の持ち味ですから(笑)。名簿見て希望業界の方がいたらすぐ連絡していますね。
加藤:OBの人たちは、どんな仕事ぶりで働かれているように見えてますか?
鈴木:皆さん、自分がやっている仕事に対して、誇りに思っているというか、自信というか、やりがいを感じているように見えてます。楽しそうにお話しされていて、ネガティブな人があまりいないですね。
JSって全体的にポジティブなイメージがありますけど、社会人になっても前向きな人が多いなという印象を受けています。
加藤:OBも後輩に対してあんまりネガティブな姿勢は見せられないわな(笑)。でも、チームスポーツだから、チームのムードや雰囲気作りを重視する人は多いかもね。
さっきも、後輩の育成という話もあったけど、後輩の人たちに対してJSKSを通じてどうなってほしいという思いはありますか?
鈴木:まず、一人のラガーマン、プレイヤーとしてグランドでできることは全力でやってほしいですけど、それ以外の部分で人としての成長というのを後輩にも感じて欲しくて、準体育会だからこそ経験できることや、準体育会ならではの魅力を感じながら、プレイヤーとしてだけでなく、一人の男として成長してもらえたらなと思っています。
加藤:もう少し言葉を加えるとすると、準体育会だからこそできること・魅力というのは例えばどんなことかな?
鈴木:決めごとが少なくて、やらされるという事がほとんどないので、自分で考えて主体的に動くという事は、準体育会の方が機会としては多いと思っています。
一人一人が自分で考えて今どうするべきなのか?を(考えて)経験していって、そこの部分は成長していってほしいですね。
ラグビー以外の部分でも絶対に通用する部分になってくると思うので、そこは意識してもらいたいなと思います。
「これから出会う新入生のあなたへ」
人の情熱に絆され二回もラグビーとの縁を手繰り寄せた鈴木は、次は自分が人の気持ちに火をつける側の人間であることを認識している。
そして、インタビューの最後に鈴木自らが語りだした話は、幹部陣で決めたスローガンへの熱い思いだった。
加藤:これを読んでくれている新入生や、これからJSKSに入ろうと思っている人に向けたメッセージを伝えるとしたらどんな言葉ですかね?
鈴木:JSKSって歴史が長くて、そんな中でも、ラグビーをしたい!大好き!という人も大歓迎なんですけど、ただそれだけじゃなくて、準体育会という性質上、主体性をもって自分で考えて練習も試合もやります。そういった主体性は準体育会でしかない部分だと思っているので、自由に自分のやりたいことをやりながらも、熱く一つのことに熱中できるのが準体育会の魅力だと思います。
少しでも興味あるなら、ぜひ1回会ってみたいです。会って練習来てグランドで感じて欲しいです、JSの良さを。
言葉では伝えきれないものがいっぱいあるので、ぜひ1回グランドに来てほしいです!
加藤:1年生の勧誘はどういう形になっていくの?
鈴木:今年もキャンパス内での勧誘はできないので、オンラインでと言うのは変わらないです。自分たちにできるのはとにかく小さくても接点を作っていくことだと思ってます。こちらからどんどんアプローチしてJSというものを知ってもらうというのを重視してやっていきたいです。
加藤:Twitterとかも見てるけど、細かいことをコツコツやっているよね。
鈴木:それくらいしか今はできないので頑張ります。
加藤:一通り、話を聞かせてもらいましたけど、どうですか?鈴木君の方から言い残したことはある?
鈴木:自分たちの今年のスローガンを決めたので、お伝えできればと思ってます。
「GRIT」というスローガンです。
本とかでも出ている言葉ですけど、「やり抜く力」という意味を表しています。
去年みたいに絶対にうまくいくシーズンじゃないし、メンバー総入れ替えで大きな転換期だと思うので、秋の最後の大会で結果を出すために、春、夏、目の前の練習だったり、練習試合を一戦一戦やり抜いて、秋に向けてシーズンを通して自分たちが体現していくという思いでそのスローガンを付けました。
なので、秋の大会を楽しみにしておいて欲しいです。
皆には、来週のキックオフミーティングで伝える予定ですが、幹部陣ではこの言葉で決まっています。
加藤:いいスローガンだね。苦しい時に立ち戻れる言葉としてもシンプルでわかりやすいね。ぜひみんなにも言葉を紡いで伝えてあげてください。「グリット」っていう練習もあるしね(笑)。
鈴木:ありますね。(笑)
加藤:では、色々と今日はありがとうございました。就活もJSKSも上手くいくことを祈っています。秋シーズンを楽しみにしておきますね。
鈴木:ありがとうございました。
鈴木の言葉には迷いが無く、「謙虚さ」と「自信」という、時に二律背反する感情が同居しているように感じられた。それは、彼が育ってきた家族環境、出会ってきた人たちの影響、鈴木本人が主体性を発揮する中で培った内省や葛藤などの彼を作り上げた要素と、JSKSという組織におけるキャプテンという役割がもたらした覚悟が、今の鈴木翔太に昇華させたと言っても良いのだろう。
まだシーズンは始まったばかり。
今から2021年がどのようなチームになっていくのか、楽しみでならない。
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